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「まとメルマ第1集(2008~2010)」

2008年~2010年にかけて配信されたメルマガからぴこ蔵の講義を中心に再編集し、加筆したものです。

<仕様>
PDF形式
全99ページ

<価格>
ダウンロード版 全99ページ(650KB)
1000円(税込み)

<Contents>

まとメルマ第1集

第一部

  • 「物語」と「文学」の違い(ぴこ蔵ライブ講座より抜粋)
  • まずベタから始めよ!
  • ユーモアという武器
  • 「悪」についてわしも考えた
  • 物語作りはフィードフォワード
  • オリジナリティとは新しさである
  • 「敵」という概念について
  • 「もっと面白くするために」
  • 物語を「作る技術」と「読ませる(魅了する)技術」
  • どうすればストーリーが作れるのか? ~悪との関係
  • クライマックスの作り方

第二部

  • 創作相談室 ぴこ蔵に訊け!

    (読者から寄せられたご質問に答えます)

<サンプル>
※まとメルマのごく一部を抜粋しました

エンターテインメントを目指そう!
  ~物語は「ストーリー」「キャラ」「イメージ」で出来ている

私は中学から高校にかけて、手探りでショートショートを書いていた頃から
自分が書こうとしている作品のテーマがわかりませんでした。

思えば私は「テーマ」というものを自分から発信するイメージやメッセージだと誤解していたのです。
そこには「宇宙の謎を解く」とか「人生の意味を明らかにする」みたいな
途方もなく立派な何かが潜んでいなければならないと思っていました。

ところが私には、世界に向けてメッセージを発信できるような深くて大きい哲学などありませんでした。
実はこれは中高生から数十年の時を経て中高年になった今でも全く同じであります。

何か立派なことをと考えても考えても、幼稚な、薄い言葉しか出てきません。
そこで私は、最初から作品のテーマについて考えたりするのを止め、
とにかく読者をびっくりさせることだけに集中するようにしました。
追い込まれた挙句の選択でしたが、その結果、「テーマ性」に対しての覚悟を決めることが出来ました。
テーマは作品全体で表現できればいいや、と思うことにしたのです。

私は物語を「叙事性(ストーリー)」「キャラクター」「叙情性(暗喩)」
3種類の木から出来ている「森」だと思っています。

そして、その3本の木の苗が揃った最も小さな森のユニット、
つまり「あらすじ」こそが最も端的に「テーマ」を表現したものであると考えています。

ところが中学生当時は学校で教わった作文の書き方しか知らなかったので、
「まずは何が言いたいのかを決めなくちゃ」と考えてしまい大上段に構えていたのです。
私が書こうとしていたのは「面白いホラ話」であり、論文なんかじゃないにもかかわらず(^^;

当然のように速攻で煮詰まってしまった私は、ただし、開き直るのも早かったのです。
「とにかく優先的にストーリーを面白く語ることだけに集中しよう。
面白ければいいんだ、面白ければ」
そう考えを切り替えると対極に走りました。

テーマに沿ったキャラや暗喩を考えるのではなく、
まずは読者を引きずりまわし、誤解させ、
ネタをばらした時に「あっ!」と驚かせる話を作ろうと決心したのです。

それからはパズルを解くようにあらすじを組み立てました。
具体的なエピソードを作ることだけに集中しました。
とくに「どんでん返し」を作ることに打ち込みました。

自分が書いている以上、自分らしさは登場人物の行動の選択に絶対に投影されるはず。
そう思ったので形而上的な思索は放棄したのです。

そして自分自身に言い聞かせました。
「俺は通りがかりに面白い話を語って聞かせて小銭をもらう街角の怪しいエンターテイナーだ。
俺はこれから「面白い話」をするんだから、途中でネタがばれないように気をつけて語らねえとな。
そろそろと慎重に騙していって、思いもよらねえ展開にして、最後は思いっきりびっくりさせてやるぜ」

ひとつ間違えると振り込め詐欺ですが^^;
少なくともこれでやらなければならないことが明確になったので
やっと落ち着いて書くことができるようになりました。

何のために、誰のために、私たちは物語を書くのか? 全てはそこからです。
それでは一つ一つの疑問に答えていきましょう。

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◎ 主人公が巻き込まれる「物語上の事件」を作り出すことに集中しすぎて、
主人公の心情を中心に物語を組み立てることができない。主人公の感情や葛藤がおざなりになる。
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>>>ぴこ蔵の回答
具体的な出来事の連動こそがストーリーです
登場人物の感情や葛藤の表現は「具体的なディテール」によってこそ明らかになるものです。
主人公の心情描写からストーリーを躍動させるのは非常に困難です。

ぴこ蔵流の創作法は「主人公の心情を中心に物語を組み立てる」方法ではありません。
そもそも私にはそのような作り方が理解できません。

物語は「変化」を描くものです。時間の創造なのです。
心情であってもそこに変化があるからストーリーが生まれるのです。
そして変化するには因果関係が必要です。

あらすじ作りは、例えば、ボウリングのようなものです。
1つのボールのスピードや進行の角度を調整してトップのピンに当てて、
9つのピンをすべて連動させるストライクを獲りにいくのです。

あるいは、ビリヤードのような側面もあります。
「玉突き事故」という言葉がありますが、まさにこれこそが因果関係です。
次々と球をぶつけていくことで、最終的にはポケットに目的の球を落とし込むのです。

ぴこ蔵メソッドでは、一見すると関係なさそうに見えるいくつかの事実を連動させることによって
複数のストーリーラインが一点で衝突するように話を作っていきます。

そこには強烈な「状況」があり、その影響でたくさんの「感情」が派生します。
そのダイナミズムが面白さを生むのです。
ストーリーをけして主人公の心情だけで語ろうとしないでください。
1つの状況から読者は作者が想定していないさまざまな心情を汲み取ります。

むしろ最初に「ある出来事」を形作った後に、その事象に対するリアクションとして
主人公がどう考えるのか、どう悩むのかのほうが大事です。

最初から「作者が表現したい主人公の想いはこれ」みたいなテーマを設定してしまうと
事件の方がその制約に縛られて小ぢんまりとします。
「登場人物の心情」は後からいくらでも追加できますし、その順番の方が自然な流れができます。

もちろん本編では語るべき心情を心ゆくまで語ればいいのですが、
物語を組み立てる段階では行動に結びつかない情緒は必要最小限に留めておきましょう。
抽象的な言葉ばかりを連ねていると本質が見えなくなってしまいかねません。

主人公の感情や葛藤をいちいち「セリフ」や「心の声」などで説明しなくても
読者が理解できるような状況を作るのがスマートなのです。
ストーリー作りの段階では、そのためのさまざまな仕掛けが必要です。

まずは、平穏に暮らしている主人公から「大切なもの」を奪い取るのが
主人公を行動に駆り立てるための定石です。

その時、主人公が日頃からいかに「大切なもの」を大事にしているかを
「主人公の行動」によって読者に理解してもらうことが重要です。

次にその「大事なもの」が失われたことで何が起こるのかを書く必要があります。
それを奪還しに行くリスクも設定すること。そして、すべてをエピソード化するのです。
「他人との会話」や「情報の入手」という形を取ることで、
一つ一つの情報をセリフで説明するのではなく具体的な「出来事」として立ち上げましょう。

いつどこで誰が何をしたのか。それはなぜか。どうやってやったのか。
登場人物の具体的な行為を描写するのです。
そうすれば主人公の心情をいちいち独白で説明しなくても読者に伝わります。

そのためには、具体的な事例のさまざまな知識や取材が必要なので、ストーリー作りの段階から
実作品を書いていく段階に入ったら、描写する対象をしっかり調べることを肝に銘じてください。

因果関係を出来事としてしっかり整理し、登場人物の一連の行動を時間軸に沿って
全てをできるだけ具体的にしましょう。
(サンプルはここまでです)

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